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母乳をやめようか迷っているママへ

赤ちゃんの笑顔

よく食べるようになったし、そろそろ断乳しようかな…。
でも、でも…。これでいいのかな…。

 

育児において「これが正解」はありません。

しかし、断乳を迷うときに子どもの意見がきけないからこそ、判断のひとつになれば幸いです。


母乳をやめようか迷っている方に読んでほしい情報をまとめました。

断乳と卒乳の違い

母乳をやめる時期をママが決めるのが「断乳」、母乳をやめる時期を子どもが決めるのが「卒乳」です。

「そろそろおっぱいをやめよう」とママが決めて、おっぱいが張って子どもが泣いても吸わせない方法が断乳。

子ども自身がおっぱい以外への興味が増えて、次第に吸わなくなっていく方法が卒乳。

「おっぱいが張った」「泣かれて大変」なときの多くは「断乳」です。

「卒乳」の場合は、少しずつ減っていくので、張ることはほとんどありません。

たとえば「年末年始に卒乳しよう」「そろそろ卒乳カウントダウン」という表現は正しくなく、このようなやめかたは「断乳」なのです。

「1歳で断乳」の根拠

「もう1歳なので断乳しました」「お友だちが断乳したので」

なんとなく「1歳になったらおっぱいをやめる」イメージは、いつごろからはじまったのでしょうか。

それは…戦後から(高度経済成長から)なのです。戦前の母乳育児期間はもっと長期間でした。

第二次世界大戦中に行われた調査によれば、子どもの乳ばなれ平均年齢は2歳で、なかには9歳まで飲んでいることが記録されています(書籍「母乳育児支援スタンダード」より)。

また、絵本「花さき山」のワンシーンには、3~4歳前後の男の子が母乳を飲んでいるシーンが描かれています。

高度経済成長により日本女性の生活が大変化しました。

「着物から洋服へ」「自宅出産から施設出産へ」「大家族から核家族へ」「男は仕事、女は家庭へ」…と変わり、粉ミルクが普及したのもこのころです。

核家族で、育児や家事を一人でこなさなくてはいけない。

そこで、「離乳食を食べるようになったら母乳はやめてもいいのでは?」という考えが広まっていきました。

核家族化により、上の世代からの「育児の伝承」も減ったことも要因でした。

生活のいろんなことが合理的になった時代に、母乳をやめる時期も「早い方がいい」と考えられるようになっていったのです。

花さき山

「離乳の完了」の意味

「離乳の完了」とは「断乳」ではありません。

離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物から摂れるようになった状態をいいます。

厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」によると、離乳の完了は「通常生後13ヶ月を中心とした12~15ヶ月ごろである。遅くとも18ヶ月までに完了する」とされており、「断乳」については書かれていません。

とにかく夜は眠りたい!!

断乳を望む理由の多くに「眠りたい」があります。夜中がしんどいのは当然です。

しかし「夜の授乳がつらい」と感じているママのなかには、夜中も座って授乳している方が多いんです。

1歳を過ぎたら、夜中は「勝手に」飲んでもらいませんか?

「差し出さず拒まず」な飲ませ方として、赤ちゃんがおっぱいを飲みたくなったら、ママの服をめくって飲むように仕向けていく方法です。

もし断乳したら、夜中に泣いても抱っこするしか手段がなくなり、もっと大変な夜になってしまうかもしれないのです。

多くのお子さんは、9か月を過ぎると「セルフ飲み」ができるようになっています。

1歳前後の子どもの夜の授乳にまで、つきあわなくてもいい。ひとりで飲めるように「教え直す」ようなイメージで飲ませると、夜の負担はぐっと減りますよ。

夜間断乳

断乳をすすめられたとき

「まだ飲ませているの?」「ご飯が食べられなくなる」「保育に預けるには断乳してきてください」…

 早く母乳をやめたほうがいいという意見を聞けば、迷うのは当然です。

 

そんなときは、こう考えてみませんか?

 

たとえば保育園の場合、預けている時間に粉ミルクを飲めたらいいだけで、自宅では母乳を続けられます。

つまり「(預ける時間だけは)母乳をやめよう」と考えたらいい。

たとえば「母乳は1歳までのもの」と考えて断乳をすすめてくれる人に対しては、

「(人前で飲ませるのは)そろそろやめよう」と考えたらいい。

そもそも母乳をいつまで飲ませるのかはとてもプライベートなこと。

「ご夫婦でキスするのは〇回がいいですよ」と言われても気にしないですよね。

それと同じで、プライベートな母乳のことを決めるのは本人たち。つまり、ママと赤ちゃんが決めればいいのです。

赤ちゃん

母乳をやめる時期の定義

母乳育児の期間について、公的機関が出している定義があります。

【WHO・ユニセフ】

生後6ヶ月は母乳だけで赤ちゃんを育て、離乳食を始めたのちも2歳またはそれ以上まで母乳育児を続けることを勧めている

【アメリカ小児科学会】

少なくとも12ヶ月、それ以降は母と子が望む限り長く吸わせることを推奨する

【厚労省 授乳離乳の支援ガイド】

いつまで母乳を続けるのが適切かに関しては、母親の考えを尊重して支援を進めていきたい

どこにも1歳で断乳をすすめることは書いてないんですね。

ちなみに、母乳をやめる時期の世界平均は、なんと!4.2歳だそうですよ。

断乳

母乳育児でママも健康になる?

母乳育児をすることで、母体の健康にも影響するというデータがあります。

【日本乳癌学会】

授乳期間が12ヶ月長くなるごとに乳がんの発症リスクは4.3%減少し、リスクは有意に減少するとされる

【米国腎臓学会】

母乳育児は、母親が年齢を重ねてから心臓発作や脳卒中を発症する危険性を低下させる可能性がある

【ケンブリッジ大学の研究(Journal of Alzheimer's Disease)】

母乳による授乳期間が長いほど、母親がアルツハイマーになるリスクが減少する

 

​哺乳類は哺乳をすると健康になるんですね。

下着の女性

優しい断乳のタイミング

母乳育児をおっぱいをやめる時期の目安にしたいのが、お子さんの発達段階です。

以下のポイントで考えてみませんか?

 

◆スタスタ歩くことができるか→ヨチヨチではなく、スタスタ

 

◆離乳食をおいしく食べているか→「食べさせたら食べる」ではなく、手づかみなど赤ちゃんの意思で食べているか

 

◆自分の気持ちを表現することができるか→2語文程度の言葉(「ぱいぱい」「ないない」など)を話したり、指を差す

 

つまり、食べたい意欲があり、行きたければ移動ができ、イヤなことは拒否できるか。

母乳以外に楽しいことが増えて、母乳を飲むことを忘れちゃう流れが理想でしょうね。

赤毛の赤ちゃん

赤ちゃんから見えるおっぱいとは

 

赤ちゃんから見えている世界を想像してみませんか?

 

この世に生まれてすぐに見えるものは、自分を見つめるあたたかいまなざしと、ぼんやり見える天井。

寝返りするころには、視界が180°動き出す。

お座りすると、位置が高く立体的に。

ハイハイを始めると、スピードが出る。

つかまり立ちをする頃には、さらに見下ろせるようになる。 

歩き始めたら、さらに速く動き出す…。

赤ちゃんから見えている世界は、たった1年で大きく変化していて、それはまるで冒険のような日々ではないでしょうか。

 

なんでも触れてみたい、なんでもなめてみたい、立ち上がってみたい、動きまわることが楽しくてしょうがない。

 

激動で大冒険の成長。

びっくりすることが増えて、ママに甘えたい。でも赤ちゃんから見ているママは、毎日同じではありません。 

それは、お化粧したり、髪を結わえたり、お洋服の色が変わったり、香水の匂いがしたり…

赤ちゃんは、毎日ママの変化を感じています。

そんな冒険の生活の中で、安心できる場所が「おっぱい」なんです。

いつも変わらず、丸くて、やわらかくて、あたたかくて、おいしい味もする。

激動の日々だからこそ、変わらない場所で安心したい。

「やわらかい」「あたたかい」安心できる場所。

赤ちゃんから見えるおっぱいはきっと、とてつもない安心と癒しなのでしょうね。

甘えたい、触れていたい、安心したい…と。

赤ちゃんがおっぱいを求める期間は、長い人生のほんの一部。

人間の平均寿命が80年以上と考えると、授乳期間が1年間なのか、3年なのか…とは、わずかな誤差にすぎません。

安心基地のおっぱいを求めているときは飲ませてあげたい。

そしていつか、楽しいことや、おいしいものが増えて、安心できる場所や人が増えて、夢中になっているうちにおっぱいを飲むことを忘れる……そんな日が来たら、それを自然卒乳とよびます

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